数年前からよく耳にするようになった、HSP(Highly Sensitive Person)と言う言葉をご存知ですか?
アメリカの心理学者が提唱した概念で、人一倍繊細な気質を生まれ持った人の事を指す言葉で、HSPは人口の20%、5人に1人存在するそうです。
同じ頃本屋さんで、平積みの本の表紙の「繊細さん」という言葉が気になり、手に取りパラパラとめくってみて、「繊細さん」とはその本の著者がHSPをマイルドに表現した言葉である事を知りました。
それ以降HSPについて考える事はなかったのですが、少し前にどうやら知り合いの奥さんがHSPらしくて、音に敏感で疲れてしまうので日常でもイヤホンだか耳栓だかを着けているという話を聞きました。
その時「HSPって、ああ『繊細さん』の事か」と思い出すと同時に、もしかして私もそうなのかも知れないと思うようになりました。
と言うのも私も昔から、特にテレビの音に過敏で、テレビが嫌いなわけではないのですが、観ていない時についているテレビの音を物凄くうるさいと感じてしまい困っていたんです。
これは本当に悩みの種で、1度目の結婚生活では、休みの日や寝る時にテレビがついているのがうるさくて仕方なかったのに、自分でもただのわがままだと思っていたし上手く伝えることも出来なくて、かなりのストレスを溜め込んでいました。
それが原因で離婚したわけではありませんが、再婚する時一番心配だったのは実はこの事でした。
現夫もテレビ好きで、再婚したらまたずっとテレビがついている暮らしが始まってしまう事は容易に想像できました。
それに耐えられるだろうかと思うと、そもそも私は結婚不適合者なのではないかとさえ思えてきてとても不安でした。
結論から言うと、この事に関しては今では何とか上手くやっています。
再婚当初は、生活習慣の異なる2人が一緒に暮らすのですから色々なすり合わせが必要になりますし、その上テレビの事まであれこれ言うと息苦しくなるだろうと思い黙っていました
でも寝ようとしている時にテレビがついているとやっぱり寝られません。
その番組の中で交わされている会話などが耳から入ってくると自動的に頭の中の回路が反応してしまい、どうしてもノイズとして聞き流すことが出来ないんです。
そこで耳栓を使ってみたりしましたが、全く効果はありませんでした。
今回は我慢が出来なくなる前に何とかしないといけないと思い少しずつ伝え始めたのですが、夫は最初戸惑いながらもかなり妥協してくれて、私がテレビの音をうるさく感じ始めるとすぐにボリュームを下げてくれたりテレビを消してくれたりするようになりました。
以前私が寝ている時にふと目を覚ますと夫が片耳だけのイヤホンでドラマを観ていたので「何で両耳のを買ってこなかったの?」と聞くと「両耳塞がっていたら(私)が何か話しかけて来た時聞こえないから」と答えたので「この人は神か!」と驚くと共に、自分が不自由を強いられているのに面倒臭い私の性質を受け入れてくれた事に本当に感謝しました。
夫がこんな人なので私でも多分上手くやって行けていると思うのですが、普通の人なら相当鬱陶しがられて、お互い共同生活に疲弊していたのではないかと思います。
ともかく、このような事から私も自分にはHSP気質があるのではないかと考えたわけです。
とは言え「繊細さ」=「弱さ」というマイナスイメージが私の中にはあり、他の人の繊細さを否定する気は全くありませんが、自分の事はそう思いたくなくて深く考える事はありませんでした。
多分今まで自分の繊細さを自覚する事は多かったと思うのですが、その度にそれは自分が弱いからだと、より自分を傷つけていた様に思います。
自分の弱さを認めるのは勇気のいる事です。
弱い自分はダメなんだとずっとそう思ってきたから、落ち込んでいてもそれを認められなかったんです。
でも去年仕事を辞めて、ブログを始める様になって考え方が少し変わって来た様に思います。
ブログの中で、普段は人には言わない様な不安な気持ちや辛い気持ちを書いてみたり、強がらずに自分の内面と向き合い始め、またその弱い自分に共感してくれるブログ仲間の方達の存在を知り、この歳になってやっと自分の弱さや情けなさを認める事ができる様になって来ました。
でもそれだけではただ自分が弱い事を認めただけで、むしろ蓋をして来た生きづらさが表面化したようで、それまでの自信も自己肯定感もすっかり地に落ちてしまいました。
再就職しても、これまでの経験とか自分への信頼感よりも、私って何にも出来ないんだな、ダメだなと無能感に悩まされるようになりました。
本当は私は大らかな人でありたかったんです。
あんまり細かい事を気にしない、自分にも周りにも優しい大らかな人に。
でも考えてみると、それを目指している事自体がそれは自分が持ち得ない性質だという事なのでしょう。
今の私、大分疲れてます。
もう繊細でも弱くても何でいいから、もしそれが私の性質ならどう付き合えば良いのか教えて欲しい。
ぐったり疲れた夜勤明けの帰り道、そんな気持ちで本屋に寄り買って来たのが、数年前平積みだったこの本です。
家に帰って読みながら「ああ、私は間違いなく『繊細さん』だわ」と納得しました。
全てが当てはまるわけでは無いけれど、私は確実にHSPの気質を持っているようです。
読んでいて「やっぱりそうだったんだな」とがっかりするのではなく「もっと早く向き合えば良かったな」とちょっと後悔しました。
今まで私は、繊細で傷つきやすいのは弱さだからもっと強くならなければいけないと考えていました。
でもこの本では、これは生まれつきの性質であって性格とは違うので、克服するべき課題ではないと書かれています。
生まれつき背が高いとか低いとか、そういう個性と同じなんだと。
とても安心しました。
だってずっと頑張って来たけど変えられなかったのですから。
でもそれは見当違いの努力だったのかも知れません。
そして、今の私のままで元気に生きていける方法があると書かれています。
「はじめに」の数ページを読んだだけで既にこの本を買って良かったと思いました。
色々語っていますが実はまだ読み終わってないんです。
読み終わったらまた感想をお伝えしたいと思いますが、今日はとりあえずこの辺で。
読んでくださってありがとうございました。