証明写真機で履歴書用の証明写真を撮って来ました。
証明写真って写真に映るのは肩から上だけなので、上半身だけ何とか体裁を整えれば良いと考えています。
下半身の乱れが表情の乱れに繋がる可能性もありますが、出来るだけ簡単に済ませたいのでそこは目を瞑ることにしました。
普段より少し時間を掛けてメイクをし、「今スーツのジャケットを脱いだところです」といった雰囲気を漂わせるべく薄手の白いブラウスを着て、下半身はどうでも良いので普段着の擦り切れかけたデニムパンツを履きました。
本当は薄いブラウスではなく厚手のセーターを着たいくらい寒い日だったので、上着はモコモコした、キルティングとボアのリバーシブルジャケットにしました。
写真を撮り終えたらトイレで着替えて買い物をしようと考え、ブラウスの代わりに着るためのセーターも持って行く事にしました。
ネットで探してみると、証明写真機は近所のショッピングモール内にあったので、早速出かけました。
館内でマップを確認し行ってみると、人気のないエレベーターホールの端っこにポツンと設置されていました。
個室の中に入りアコーディオンカーテンを閉めると、公衆電話ボックスの中(入った事がない人ももう沢山いるんですよね、多分)くらいのスペースの真ん中に、小さな丸椅子がありました。
椅子に座って狭い個室内で、ショルダーバッグと着替えの入ったトートバッグとスマホショルダーを肩から外し、モコモコのかさばるジャケットをなんとか脱ぎました。
どこか置くところがないか四方を見回してみましたが、それらの物を掛けられるようなフックも無く、かと言って床にも置きたくないので、膝の上に全部抱えて落とさないように片手で押さえながら、もう片手で画面の操作を始めました。
「通常コース」は千円で、百円プラスすると「美肌コース」が選択できるようになっていたので「お、ラッキー」と思い、迷わず「美肌コース」を選択しました。
先に料金を支払うよう促され、財布を開け千円札を出そうとすると中には一万円札しか入っておらず、お札の挿入口を見ると千円札しか入れられないようになっています。
小銭を確かめると百円玉が十枚しかなく、「マジか・・」と固まりました。
これではまた、荷物を落とさないように抱えながらの不自然な体勢でモコモコしたジャケットを着て、外に出て行ってどこかでお金を両替して戻って来て、その後また一からやり直さないといけない・・。
そう思うと呆然としました。
「通常コース」に変更すればお金は足りるけれど、出来れば少しでも良く写りたい・・。
便利に利用させて貰いながらこんなこと言いたくはないけれど、設計した人はこの機械を使った事あるのかな、と心の中で毒づきながらバッグの中を引っ掻き回していると、ポーチのひとつから何とか百円玉をひとつ見つけることが出来ました。
ホッと胸を撫で下ろし、お金を全て投入して無事撮影が終了しました。
終了後、モタモタしながら身なりを整えて出ていくと、既に写真も出て来ていました。
「美肌コース」を持ってしてこれが限界か、とため息をつきながらも「通常コース」よりはきっとマシだったに違いないと考えることにして証明写真機を後にしました。
その頃にはさほど寒いとも感じなくなっていたので結局着替えはせず、余計な荷物を持って回っただけでした。
ここで証明写真機を設計されている方へお願いがあります。
壁にひとつフックを付けて頂けないでしょうか。
どうかよろしくお願い致します。